2023年10月16日(月) 長野日報
継続可能な企業を目指して SDGs特集
お客様、社会のために一流を知り、チームワークで応える「モノ言う板金屋」を目指して
パソコンやサーバーの電源用、産業機械の筐体(きょうたい)などを主に精密板金を手掛け、今年で44年になります。近年、システックホールディングスの傘下となり、グループの電子部品商社システックとの連動で全国に顧客を広げています。視野と挑戦は世界規模、同時に地元地域への愛着の深さも人一倍と自負しています。
「地域社会の一員として社会に貢献する」という経営理念に基づき、地元諏訪市が掲げるゼロカーボンシティ宣言に賛同。市主催のイベントに出展、自社製品も精力的に開発してふるさと納税返礼品に登録するなど創業の地である諏訪市へ感謝し、貢献できるよう会社運営をしています。
物やエネルギーを大事に使う精神は創業当初から根付いており、SDGsは身近なことと認識しています。
精密板金加工とは、大きな金属板から欲しい形を切り抜き、タップ加工、曲げ加工などの技術でお客様の希望するカタチに仕上げるイメージです。この工程の要となるレーザー加工の複合機を3年前、最新機にし、1枚の金属板から加工できる生産能力を30%以上増強し、資源の有効活用をさらに加速しました。
自社努力にとどまらず、取引先顧客にも協力をいただき、加工の途中で生じてしまう小さな傷や打痕についても一律に不良にするのではなく、許される範囲のものは出来るだけ使っていただくように要望提案をしています。こうした取り組みの積み上げでスクラップ廃棄を確実に減らしています。大手製鉄会社が取り組む、温暖化効果ガス削減の新素材開発に協力参加もしています。
不良の削減、量産トラブル防止、コスト低減になるなら依頼元のお客様が決めた設計や仕様を変更する逆提案も遠慮なくさせていただく姿勢です。お客様のため、そして地球環境のためにいい意味で「モノ言う板金屋」でありたいと思っています。
社内では働きがいにつながる福利厚生の充実を続けています。欧米で一般的な「サバティカル休暇」(最低1ヵ月~長期の休暇制度)も導入する計画です。資格取得の学校に通う、世界一周の船旅に出る、育児や介護に充てるなど過ごし方は自由、取得の理由は問いません。一般に中堅、ベテラン社員の長期間不在は痛手と捉えがちですが、実は若手がスキルアップする大きなチャンス。もちろん休暇を取得する社員にとっても真に心身を休めたり、経験を育む機会となります。人手不足が深刻な状況でこそ必要な、企業の体質強化につながる制度だと期待しています。
構内に憩いのウッドデッキを設けたり、花壇でブドウや野菜を栽培したりと社員提案のユニークな取り組みも実現しています。育児休暇の取得率も大きく向上しています。コロナ禍で休止を余儀なくされてきた豪華な社員旅行、社内レクリエーションも復活しました。私たちは製造業ですがサービス業だと思っています。「一流を知らなくてはいいものづくりはできない」。その精神が込められています。
(三浦正広社長、環境・ラコマイソソ明子さん)